A1. ピロリ菌は胃の中に棲み胃の粘膜を傷つける菌です。通常、胃の中は強い酸性で菌は棲めませんが、 ピロリ菌は特殊な酵素(ウレアーゼ)によってアンモニアを産生し胃酸を中和することで、胃の中でも生息が 可能です。 ピロリ菌の感染は幼少期(4〜5歳)までに起こり慢性的に持続して胃の粘膜に炎症を起こすことが知られて います。
A2. ピロリ菌に感染すると胃の粘膜は炎症を起こします。この炎症症状が続くと、慢性胃炎や萎縮性胃炎が 進行し、やがて胃がんの発生につながります。
A3. がん年齢(一般的には40歳以上)でのピロリ菌感染率は、40代で約30%、50代で約40%、60代で約50% となっており、特に50代以上の感染率が高いとされています。 日本は他の先進国に比べてピロリ菌感染率が高く、また日本人の多くに感染しているピロリ菌は、より胃がん を引き起こしやすいタイプのピロリ菌だとされています。
A4. ABC検診(胃がんリスク分類)とは、ピロリ菌感染の有無を調べる検査(ピロリ菌抗体検査)と胃粘膜 の萎縮度合いを調べる検査(ペプシノーゲン法)の組合せで、胃がんになりやすいかどうかを評価する検診です。
A5. 血液検査でピロリ菌の抗体とペプシノーゲンの値を測定した後、その結果を組み合わせて胃がんになる リスクをA〜D群の4群に分類します。
A6. ピロリ菌の除菌治療を行います。胃酸の分泌を抑える薬と抗菌薬を組合せた3種類の薬の服用を1週 間続けます。1回目の除菌治療で成功しなかった場合には薬の種類を変え、同じく3種類の薬の服用を1週 間続けます。
A7. ピロリ菌が完全に除菌されたかどうか確認することは大変重要です。担当医師の指導のもと、適切な精密検査と除菌治療を行いましょう。
監修:浜松医科大学 病院教授
臨床研究管理センター 副センター長 消化器内科 古田 隆久先生