RSウイルスQ&A Q&Aの見方:質問をクリックすると、答えが見られます。

A. RSウイルスはかぜの原因ウイルスの1つであり、乳幼児から高齢者まで見られますが、特に乳幼児や小児に多く見られる気道感染症(きどうかんせんしょう)を引き起こすウイルスです。小さいこどもでは、肺炎や細気管支炎(さいきかんしえん)などの重篤(じゅうとく)な症状を引き起こし死亡することもあり、注意が必要です。
A. 鼻水、発熱、せきなど一般的なかぜの症状が主ですが、RSウイルスが下気道に入り込むと、下気道炎や細気管支炎、肺炎にいたることもあり、症状によっては入院が必要な場合もあります。また初めて感染した乳幼児の場合では重症化しやすいため、高熱が続き、ゼーゼーするせき、または喘息のような苦しそうなせきが続く場合は早めにかかりつけのお医者さんに相談しましょう。特に、この様な症状が見られた際には、RSウイルスによる感染症の可能性が高まります。
A. 気管支が枝分かれし、細くなった部分を細気管支といいます。細気管支炎とは、この細気管支が炎症を起こし、狭小化や閉塞を示している状態をさします。乳幼児の場合はRSウイルスによって引き起こされることがほとんどです。強いせきと呼吸困難、ヒューヒュー、ゼーゼーという喘鳴(ぜんめい)、肋間(ろっかん)の陥没(陥没呼吸)が見られ、重症例ではチアノーゼを示します。
A. インフルエンザと同様に、冬場に流行が見られます。毎年だいたい10月頃からはじまり、12月頃にピークを迎え、3月頃まで続きます。なお、RSウイルスは感染力がとても強く、保育園、幼稚園、病院の外来や病棟、高齢者施設での流行が見られ、注意が必要となります。
A. 1歳までに約70%以上の新生児が感染し、3歳までにほぼすべての小児が感染すると言われています。RSウイルスは、1度かかっても免疫ができにくいため何度もかかります。しかし、何度も感染するうちに症状も軽くなり、おとなでは発熱などかぜの症状で済むことが多いとされています。特に高齢者施設では流行例がときどき見られます。
A. RSウイルスに感染した人との接触や、せきやくしゃみに含まれるウイルスを吸い込むことで感染します。また、ウイルスがついた手指から眼やのど、鼻の粘膜に接触することで感染することもあります。RSウイルスの消毒には、次亜塩素酸(じあえんそさん)ナトリウム、消毒用アルコールが有効です。
A. 6ヶ月未満の赤ちゃんや早産児、生まれつき心臓や肺に疾患を持っている場合に重症化することがあります。RSウイルスに感染し、入院を必要とする場合のほとんどは、初めて感染する6ヶ月未満の乳児と言われています。また、生後間もない赤ちゃんの乳幼児突然死症候群(SIDS:にゅうようじとつぜんししょうこうぐん)の原因のひとつとも考えられています。ほかに、高齢者や移植患者など、免疫が低下(または不全)している場合は、重症化することがあります。
A. 迅速診断キットを用いて検査する際には、RSウイルス感染症の疑いのある人の、鼻の粘膜を綿棒で軽くこすって採取したもの、鼻汁吸引液(びじゅうきゅういんえき)、鼻咽喉洗浄液(びいんこうせんじょうえき)などを診断キットで検査します。結果は短時間(約10分程度)でわかります。一方、ウイルス分離の際には、採取した検体を凍らせることなく4°Cで保存し、早期に検査機関に送る事が必要です。
A. 中耳炎の合併症がみられることがあります。中耳炎が疑われたら安静にし、痛みがひどいようでしたら医療機関へ行きましょう。また乳幼児において、先天性心疾患を有する場合、重篤化することがありますので注意しましょう。
A. RSウイルス感染症に特効薬はありませんので、対症療法になります。安静にしてゆっくり休み、水分補給を心がけましょう。またRSウイルスによる細気管支炎には、入院して、注意深い輸液の投与、呼吸管理として酸素吸入、気管支拡張剤を投与することがあります。
A. インフルエンザのようなワクチンはありませんので、この病気にかからないためには、手洗いやうがいなどの毎日の心がけが大切です。RSウイルスはおもに接触感染でうつりますので、手をよく洗いましょう。赤ちゃんや小さなこどものいる家庭では、家族内感染が多く見られます。また、乳幼児の多い保育園や幼稚園では感染が広がることもあるため、十分に注意しましょう。特に、RSウイルス感染により重症化しやすい予防先天性心疾患を持っている乳幼児や早産児に対しては、有効な予防薬がありますので、かかりつけのお医者さんに相談しましょう。
A. まずは安静にし、ゆっくり休みましょう。また部屋の湿度を保ち、こまめに水分補給をしましょう。乳幼児の場合は、自分でうまく鼻をかめませんので鼻水を取り除いてあげましょう。しかし、症状が急変したり、苦しそうにしていたら、すぐにかかりつけのお医者さんを受診するようにしましょう。

監修:鈴木 宏先生

新潟青陵大学 看護福祉心理学部 看護学科 学部長 教授(医学博士)
新潟大学名誉教授
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